ソネットとは?
・十四行詩のこと!
日本では馴染みが薄いけど、イタリアや英語圏では伝統的な形式なんだ!
ソネットには簡単に3つのルールがあって
・十四行で物語を終わらせること
・特定の行で韻を使うこと
・物語に急展開を創ること
それ以外にもあるけれど、まずは楽しんでみて!
どうやって読むの?
・お好きにどうぞ!
ソネットは歌として口ずさんでもよし! そのまま読んでも良しだ!
楽しく読めるようになったら “押韻構成” に注目してみて!
ソネットは特定の行で、韻を踏むのが伝統のひとつ!
例えば、ABBA ABBAならAの行の最後とBの行の最後で韻を踏んでいるよ!
よくわからないうちは、
同じアルファベットのところは、同じ文字で終わっていると思うと分かりやすいかな!
強弱〇歩格って?
・読むリズムのこと!
難しく言ってるけど簡単さ!
強弱4歩格なら、強く弱く一行に四回うたうこと!
例えば
"ぼくは ひとさ ただの ひとさ"
という詩があったら
ぼく で強く歌って、は で弱く歌うのを繰り返すんだ!
ぼく↑は↓ ひと↑さ↓ ただ↑の↓ ひと↑さ↓
って感じ!
上手くできない時は、上で息を吸いながら、下で吐きながら言うのを試してみてね
少し難しく言うなら、助詞や接続詞で弱く発音する感じ
他にも音節で…… とかあるけど!
難しく考えないで、好きなように歌ってみてね!
物語の急展開ってどこ?
“ターン”と呼ばれるソレは、
基本的には9行目に多いよ!
ソネットは伝統的には4行の塊が二つと
3行の塊二つで構成されているんだけど
ちょうど3行の塊が始まる9行目が
物語後半にあたるよう創られている物が多いんだ!
ただこのターンや行の塊は人や作品によって異なるから
詳しく知りたいときは押韻構成を見たり、詩を深く読んでみよう!
綿毛のソネット
とんでとんで綿毛とぶ
道すがらには火が燃える
雨上がりにはみず跳ねる
よるなよるな綿毛よぶ
火は青さを撫でて宣ぶ
「優しさは一瞬のみ燃えて消える」
「潤い共に濁りも与え翼は潰える」
水はどろを浮かせ宣ぶ
綿毛はかく語りき
「燃えた灰だけが火を泳ぐ」
苦痛を耐えるものだけが救いを知る
綿毛はかく語りき
「含む者だけが深海を歩く」
哀愁を知るものだけが自分を得る
押韻構成・ABBA ABBA CDE CDE
布細工のソネット
逃げ場のない部屋の片隅
裂ける心に布あてる
「こんな裁縫にも慣れた自分がいる」
そう呟いても続く涙の波
まるで私はぬいぐるみ
遊びのはずで輪郭は削られる
皆さんどうして当て布足りる
ささくれた言葉を抉るのは自分のみ?
ご覧、晴れ間が響く
この苦しみは確かに本物
今は慰めさえ消え失せる
だが、思い返せば全てが安く
忘れてしまえるそんなもの
やがて当て布さえ剥がせる
押韻構成・ABBA ABBA CDE CDE
逃避のソネット
毎日普通を頑張る平日
そうさ誰にもされないお疲れ表彰
キスの真似事ばかり巧くなる日常
それでも哀しい部屋が真実
SNSなら昨日も充実?
なめんなこちとら毎日残業
お菓子にジュースでストレス解消
ニキビが出来ても恨むな口実
“逃避”だなんて言うなよこれを
現代社会の生存戦略
お疲れ様です今日も一日
“笑える”なんて言うなよそれを
生きてるならば昨日は簡略
やり遂げました今日も一日
押韻構成・ABBA ABBA CDE CDE
潮風のソネット
海、うねり輝く海を見ていると
思わず体が飛び込みそうになる
そう、風に凪ぐ棒のように為る
服など着たまま引力に任せよと
ただ、不思議な恐怖もおいそれと
刺し魚が居るやもなどと不安が実る
嗚呼、それでもアタマは重くなる
棒の脚など軸にして堤防端で反転と
潮風、潮風よ!
お前は何ゆえ海から吹くのだ
私など稀有な人間と笑うのか
思えば海の畏敬は親の様よ
私は其ゆえ逆らい落ちるのだ
潮風、潮風よ! 笑うのか
押韻構成・ABBA ABBA CDE CDE
強弱5歩格
山頂のソネット
見ろあの 男は 山を 越えようと している
先に あるは 光を 忘れた 鉱山
あるいは 枯れた 川だけ どちらも 無惨
誰か 誰か 奥さま 止めようと している
やめよ やめよ 我らも 言葉の 矢射る
今や 記憶の ものは 何もない 壊残(かいざん)
山の 先を 知らぬとは 町の 新参?
それなら 共にと 我らは 向かうも 滅入る
なんと なんと 越えて 驚くは 我ら
今だ 此処には これほど 光が あるとは
愚かは 我ら 今まで 気付けぬ 真実
男は 笑って みんなの ものだ 此れら
山に 隠れて 見えぬ ものが あるとは
再び 明日に 皆で 見ようぞ 落日
押韻構成・ABBA ABBA CDE CDE
強弱五歩格
強弱4歩格
嵐のソネット
嵐の 夜に 例えば 笑おう
声は 磨硝子の 雨に 競って
一人 バケツは 雲に 吟って
織られ 重なる 風の 専横
冷たい 窓に 手形は 呼応
格子の 粒は 息を 攫って
遅れる 光が 足を 掬って
こだまの 音は 耳に 再往
窓辺に 遺る 未亡の 手形
庭の バケツが 奏でる 信号
ホワイト ノイズは 混ざり 落して
光が 遮像に 通行 手形
眠れぬ 者の 届かぬ 暗号
なんて 自嘲し 返事を 灯して